「調べて」と頼んだら AI が自分の Chrome を動かしていた|Codex CLI のブラウザ操作をオフにした話
Lyric Machine 開発記(6本目) 公開日 2026年10月14日
自分専用の作詞アプリ「Lyric Machine」を作っていて、いちばんヒヤッとした出来事の話です。AI に「この人について調べて」と頼んだら、AI が私の Chrome を開いて検索しに行っていました。この記事では、何が起きていたのか、Claude Code(文章で頼むとプログラムを書いてくれる AI)とどう対処したのかを書きます。
何を作りたかったか
Lyric Machine には「仮想クライアント」という機能があります。自作の曲に、架空の監督やクライアントを立てて、歌詞の指摘をさせてみる機能です。人物像は、ネットの公開インタビューなどを AI に調べてもらって作ります。AI が作った架空の人物像で、実在の誰かの意見ではない、という前提で作っています。
この「調べる」作業を、ChatGPT のサブスクで動く Codex CLI に頼めるようにしていました。CLI は、ターミナルで文字を打って動かす道具のことです。Mac に入れた Codex を、アプリが裏で呼んでいます。
何が起きていたか
ある日、仮想クライアントの人物像を作るために、Codex に調べさせました。できあがった人物像には、中身がほとんどありませんでした。「ネット検索ができなかった」という内容だったのです。
そこで Claude Code に、できた人物像を見せました。
私Codex のサブスクで調べさせたらこうなっちゃった
Claude CodeChatGPT(Codex)がネット検索できないまま書いたので、中身のない仮想クライアントができていました。検索が一度も動かなかったら、その結果から人物像を作らないようにしました。
Claude Code原因を突き止めたいので、1 つお願いです。ターミナルで次の 1 行を貼って、出てきた文字をそのまま貼ってください。
中身のない人物像を貼って見せた(やりとりを再現したもの)
言われたとおりにターミナルで診断用のコマンドを打ち、出てきた結果をそのまま貼りました。
私Code Mode is unavailable because failed to spawn code-mode host …
Claude Code原因がわかりました。貼ってもらった出力から、問題は 2 つあります。
1 つは、手で入れた Codex は本体だけで、付属の部品が足りていなかったことです。
Claude Codeもう 1 つは見過ごせない点です。今回のテストで Codex は、組み込みのネット検索ではなく、あなたの Chrome を操作して検索しています。アプリからは絶対に起きないようにします。
診断の結果を貼ったとき(やりとりを再現したもの)
2 つの原因
調べてもらうと、原因は 2 つありました。
原因 1:Codex の部品が足りなかった
Codex を手で入れたため、付属の部品が 1 つ入っていませんでした。そのせいで、検索の段階で起動エラーになっていました。
原因 2:Codex が私の Chrome を動かそうとしていた
診断の結果を見ると、Codex は組み込みのネット検索を使わず、私の Chrome を動かしてページを読もうとしていました。Codex には「ブラウザを操作する機能」が最初から有効になっていたのです。
記録によると、読むだけで、入力や送信はしていませんでした。それでも、自分のブラウザが知らないうちに使われていたのは、やっぱり気持ちのいいものではないですね。
どう直したか
Claude Code は、2 段構えで直してくれました。
Claude Code貼ってもらった出力で原因がわかったので、v0.36.2 で直しました。
Claude Codeアプリから呼ぶ Codex では、Chrome 操作やパソコン操作、外部アプリ、プラグインなどの機能をすべて切りました。調べものは、組み込みのネット検索だけを使います。
Claude Code前回入れた安全策も残してあります。それでも検索が動かなかったときは、中身のない人物像を作らず、Claude Code で調べ直します。
直し終えたときの報告(やりとりを再現したもの)
1. アプリから呼ぶ Codex では、余計な機能を全部切る
アプリから Codex を呼ぶときは、次のような機能をすべてオフにしました。
- ブラウザ操作
- PC の操作
- プラグイン(あとから足す追加機能)など
使うのは、Codex に組み込まれたネット検索だけです。
2. 検索が 1 回も動かなかったら、人物像を作らない
検索が 1 回も動かなかった場合は、空っぽの人物像を作らず、Claude Code で調べ直すようにしました。Claude Code が入っていない場合は、理由を説明して止まります。
ターミナルで Codex を直接使う場合に、同じ機能をオフにする方法も教えてもらいました。
詰まった所と解決
この件では、修正の版を短い時間で 2 回出しました。そのため、最初の版のビルド(アプリを作る作業)は次の版に追い越されて途中で止まりました。中身は次の版に含まれているので、問題はありませんでした。
Claude Codev0.36.2 の Mac ビルドは成功しています。
Claude Codev0.36.1 のビルドは、すぐ後に v0.36.2 を出したので途中で止められて、最後まで動いていません。v0.36.2 にはその変更も入っています。
次の頼みごとのついでに届いた報告(やりとりを再現したもの)
もともと、このアプリには「サイトの画面は自動で操作しない。操作は自分の手で」という方針がありました。サイトの規約を守るためです。今回の件で、使う道具の側が最初から自動操作できる状態になっていることもあるんだ、と分かりました。
使ってみた感想
直したあとに仮想クライアントを作り直すと、今度はちゃんと調べてくれました。
「便利な機能が最初からオンになっている」ことの怖さを感じた出来事でした。ただ、非常に勉強にもなりました。
同じことをやりたい人へ
AI の道具をアプリから呼ぶときに、私が今回学んだことをまとめておきます。
「何ができる状態で動いているか」を一度確かめる
便利な機能ほど、最初からオンになっていることがあります。ブラウザ操作や PC の操作のような強い機能は、必要がなければ切ってもらいましょう。
結果が変なときは、結果そのものを AI に見せる
今回は、空っぽの人物像と診断の結果を見せたことで、原因が 2 つあると分かりました。「うまくいかない」と言葉で伝えるより、実物を見せちゃうほうが早いです。
「できなかったときにどうするか」を決めておく
検索ができなかったのに、それらしい人物像を作ってしまうのが、いちばん困ります。止まるのか、別の方法で調べ直すのかを、あらかじめ決めておくと安心です。
まとめ
- AI の道具には、ブラウザ操作などの強い機能が最初から有効になっているものがある
- アプリから AI を呼ぶときは、必要な機能だけを残し、それ以外は明示的にオフにする
- 「検索できなかった」ときに、それらしい結果を作らせず、止まるか別の方法で調べ直す
- 気になる動きがあったら、症状と診断の結果をそのまま AI に見せると、原因を一緒に探してくれる
次の記事では、Mac で作ったアプリをスマホから使う方法(Tailscale と Cloudflare の無料枠)を書きます。