作った機能を消した話|「メロに当てる」を捨てて、作業の流れを作り直した個人開発のふりかえり Lyric Machine 開発記(11本目) 公開日 2026年10月29日
アプリを作っていると、機能を足すことばかり考えてしまいます。でも、自分専用の作詞アプリ「Lyric Machine」では、手間をかけて作った機能をあえて丸ごと消したことがあります。この記事では、消した「メロに当てる」機能と、消したあとに作り直した作業の流れについて書きます。作ったのは Claude Code(文章で頼むとプログラムを書いてくれる AI)です。
何を作りたかったか
ある日、何か入れたら面白そうな機能はないか Claude Code に聞くと、いくつも案が出てきました。どれも面白そうだったので、全部入れてもらうことにしました。
Claude Code All six features are pushed. The Mac app is building and running its checks.
Claude Code お願いされた 6 つをすべて入れて、v0.20.0 として公開しました。実際の Mac での自動テストも通っています。
提案された機能を全部入れてもらった(やりとりを再現したもの)
このとき一気に入った 6 つの機能のひとつが「メロに当てる」です。
作詞では、メロディが先にあって、そこに言葉をはめていくことがよくあります。そのとき大事なのが、メロディの音の数と歌詞の音数(モーラ)を合わせることです。
モーラは、日本語の音の数え方の単位です。たとえば「とうきょう」は「と・う・きょ・う」で 4 モーラになります。小さい「ょ」は前の文字とまとめて 1 つ、伸ばす音や「ん」「っ」は 1 つと数えます。Lyric Machine では、このモーラを AI の感覚に任せず、日本語を単語に分ける辞書で実際に数えています。
「メロに当てる」は、鼻歌やデモの音源から音の数を数えて、歌詞の各行と比べられるようにする機能でした。
やったこと
Claude Code は、デモの音源を解析して、フレーズ(ひとまとまりのメロディ)の区切りと、フレーズの中の音の数を数える仕組みを作りました。歌詞欄の横には「今の音数 / メロディの音の数」が色付きで出るようになりました。
ただ、精度を上げるのは正直難しかったです。
音量の変化だけで区切ると、音を取りこぼす 1 半音の動きを、0.74 半音と読んでしまう ビブラート(声の揺れ)を、音として数えすぎる
Claude Code は、こうした問題に 1 つずつ対応して、調整を重ねていきました。
詰まった所と解決
機能が入って少したったころ、私は Claude Code にこう聞きました。
Claude Code メロディの音の数と歌詞の音数が合っているかを確かめる機能です。
鼻歌や仮歌のデモを入れると、フレーズごとに音の数を数えて、歌詞欄の各行の右に「今の音数 / メロの音数」を出します。
私 そこは頭の中でやりながら書いてくからやっぱ消そう
Claude Code 「メロに当てる」を削除しました。
機能の中身を忘れていた(やりとりを再現したもの)
作詞のときにメロディの音の数を数えるのは、私にとっては頭の中でやる作業でした。それなら機能はなくていいかな、という判断です。Claude Code は、機能をまるごと削除し、解析のために入れていた部品も外しました。
ここで 1 つ、小さなトラブルがありました。機能を削ったとき、関係のない「メモの保存」の処理まで一緒に消えてしまったのです。履歴から戻し、差分(前とどこが変わったか)で確かめて直しました。
作り直した作業の流れ
機能を消したのと同じタイミングで、作業の流れも整理しました。消そうと言ったのと同じメッセージで、こう続けています。
私 あと、歌詞は作詞家と会話しながら書いていくので、歌詞の下に会話を置こう。
それで出来たものをクライアントチェックに進み、差し戻しがあったらまた会話して修正、クライアントOKでたら歌を正式に差し替えるという流れで。
Claude Code 画面を「会話 → チェック → 差し戻し or OK → 歌い直し」の順に並べ替えました。作詞家との会話は、歌詞のすぐ下に移しました。
消したついでに流れを決めた(やりとりを再現したもの)
決めた流れは次のとおりです。
作詞家(AI)と会話して書く 仮想クライアント(架空の監督やクライアント)にチェックしてもらう 差し戻されたら、会話で直す OK が出たら、その版を確定する 確定した版で、歌い直し(デモを別の声で歌わせる)をする
画面も、この流れの順番に並べ直しました。会話の欄は歌詞のすぐ下に移っています。
使ってみた感想
機能を消してみたら、かなりすっきりしました。
手間をかけて作った機能でも、使う人が「いらない」と判断したら消せるのは、自分専用アプリならではだと思います。作る側の都合より、使う人の作業の流れのほうが大事ですね。
同じことをやりたい人へ
自分専用のアプリを作っていると、AI から「こんな機能もあります」と提案されることがよくあります。私も「全部入れたい」と頼んで、一気に 6 つの機能を入れました。そこから学んだことをまとめます。
入れてみて、使わないものは消していい 。入れる前に悩みすぎるより、とりあえず入れて、使ってみて判断するほうが早いこともあります。自分専用なので、ほかの人に迷惑はかかりません。 「これ何だっけ」と思ったら、それが合図 。機能の中身を忘れているということは、作業の中で使っていないということです。説明を聞いて、本当に必要かを考えるきっかけになります。 消すときは「ついでに消えていないか」を確かめてもらう 。機能は、ほかの部分とつながっていることがあります。今回のように関係のない処理まで消えてしまうことがあるので、消したあとに確かめてもらうと安心です。 消したら、流れを見直す 。機能が 1 つ減ると、画面の並びや作業の順番を見直す余地が生まれます。私はこのタイミングで、OK が出るまでの流れを作り直しました。
まとめ
「面白そう」で入れた機能でも、実際の作業に合わなければ消していい 精度の調整を重ねるより、なくしたほうがすっきりすることもある 機能を消すときは、関係のない部分まで消えていないか確かめる 消したあとは、作業の流れそのものを見直すきっかけにもなる 前の記事 Notion のメモをアプリに自動で取り込む|作詞の言葉ストックを 20 秒ごとに同期した仕組み