自作の曲に「架空の監督」から指摘をもらう|AI で仮想クライアントを立てて歌詞をチェックする機能 Lyric Machine 開発記(8本目) 公開日 2026年10月19日
自分で書いた曲の歌詞を、監督やクライアントの目で見たらどう見えるのか。そんなことを試せる「仮想クライアント」という機能が、自分専用の作詞アプリ「Lyric Machine」にあります。自作の曲に対して、架空の監督やクライアントを立てて、指摘をさせてみる機能です。この記事では、この機能がどう生まれ、どう育ったかを書きます。作ったのは Claude Code(文章で頼むとプログラムを書いてくれる AI)です。
何を作りたかったか
きっかけは、Claude Code に「ほかに入れると面白そうなものある?」と聞いたときに、自分で思いついたアイデアでした。監督の公開インタビューなどを読み込ませて、アプリの中に仮想の監督を作り、指摘してもらえたら面白いのでは、と考えたのが仮想クライアントです。
ネットの公開インタビューやコメントを参考にして、監督やクライアントの人物像を作る その人物像を、架空の相手として立てる 自作の曲の歌詞を、その相手にチェックしてもらう
大事な前提として、これは AI が作った架空の人物像で、実在の誰かの意見ではありません。この前提は、機能の中にも組み込んでいます。
Claude Code 仮想クライアントを入れて、v0.18.0 として公開しました。送った画像の中身は、私がテスト用に作った架空の指摘です。
Claude Code 指摘はあくまで「公開情報から推測した、この人が言いそうなこと」として出る作りにしてあります。発言を作り上げたり、インタビューを長く書き写したりはしません。
最初の版ができたときの説明(やりとりを再現したもの)
やったこと
人物像づくりとレビュー
最初の版でできたのは、次のことです。
ネットで調べて人物像を作る 歌詞をレビューしてもらう。返ってくるのは、OK 度(今の段階でどれくらい OK に近いかを表す点数)、行ごとの指摘、打ち合わせで聞かれそうな質問 指摘を、そのまま作詞家(AI)に渡して直してもらう
本物のフィードバックの優先
続いて、人から実際にもらったフィードバックも取り込めるようにしました。文章の貼り付けのほか、画像の文字も読み取れます。
ポイントは、本物のフィードバックを推測より優先して反映させることです。AI が推測で作った人物像より、実際にもらった言葉のほうが確かだからです。
打ち合わせと自動の「詰め」
さらに、次の 2 つも加わりました。
仮想クライアントとの打ち合わせ(質問すると、その人物像として答える) 作詞家とクライアントの自動の詰め(クライアントの指摘と作詞家の直しを自動でくり返し、8 点まで来たら止まる)
Claude Code ほかに入れたら面白そうなものです。仮想クライアントとの打ち合わせは、1 回の指摘だけでなく、会話でやり取りする形です。作詞家とクライアントに議論させて、その間を自分が取る形も面白いです。
Claude Code お願いされたものをすべて入れて、v0.20.0 として公開しました。打ち合わせでは、仮想クライアントに「ラストはどんな場面?」などを会話で聞けます。
Claude Code 詰めるほうは、指摘、作詞家の直し、また指摘…を自動で回します。8 点以上が出たら止まります。
提案された機能を全部頼んだ(やりとりを再現したもの)
クライアントタブと最新情報の更新
使ううちに、仮想クライアントを画面の上のタブとして独立させ、情報を新しくするボタンも頼みました。
私 上のタブにクライアントタブを分けたい。今は作詞家のとこに入っているが。
Claude Code 上のタブに「04 クライアント」を作り、作詞家タブから移しました。
私 クライアント情報は随時ネット情報を集めて更新できるようなボタンが欲しいね
Claude Code クライアントのカードに「ネットで最新情報に更新」ボタンを付けました。作り直しではなく、今の人物像に足していく形です。
クライアントをタブに分けて、更新ボタンを頼んだ(やりとりを再現したもの)
このボタンは、人物像を作り直すのではありません。前に調べた日と出典を AI に渡して、それ以降の新しい情報だけを足していきます。フィードバックから学んだ部分は消しません。人がメモを付け足していくやり方に近いと感じます。
詰まった所と解決
いちばん大きかったのは、人物像が空っぽになった件です。ある人物像を作ろうとして、ChatGPT のサブスクで動く Codex という道具にネットで調べさせました。すると、「ネット検索ができなかった」という中身のない人物像ができてしまったんです。
私 Codex のサブスクで調べさせたらこうなっちゃった
Claude Code ChatGPT(Codex)がネット検索できないまま書いたので、中身のない仮想クライアントができていました。
Claude Code Codex の調べものの途中で、検索が一度も動かなかったら、その結果から人物像を作らないようにしました。その場合は、Claude Code で自動的に調べ直します。
空っぽの人物像ができたとき(やりとりを再現したもの)
原因は 2 つありました。Codex の部品が足りずに検索が起動しなかったことと、Codex が組み込みの検索ではなく私の Chrome を動かそうとしていたことです。直し方は、別の記事「『調べて』と頼んだら AI が自分の Chrome を動かしていた」に詳しく書いています。
今は、検索が 1 回も動かなかった場合は人物像を作らず、別の方法で調べ直すようになっています。
使ってみた感想
仮想クライアントにレビューしてもらうと、かなり細かい指摘が出てきて面白いです。
作詞家とクライアントの自動の詰めは、まだ改善の余地があります。まあ、アイデアとしては全然ありだと思っています。
「架空の監督に歌詞を見てもらう」という発想を試せるのって、自分専用アプリならではですよね。
同じことをやりたい人へ
ネットの情報をもとに「仮想の相手」を AI に作らせるときに、気をつけた点をまとめます。
1 つ目は、「AI が作った架空の人物像で、実在の誰かの意見ではない」と最初に決めることです。AI はそれらしい発言を作れてしまいます。この前提を、機能の中に組み込んでもらいました。 2 つ目は、本物の声を優先する仕組みにすることです。推測はあくまで推測です。実際にもらったフィードバックを優先して反映させることで、使うほど人物像が確かになっていきます。 3 つ目は、調べられなかったときは人物像を作らないことです。材料がないまま人物像を作ると、それらしいけれど根拠のないものができてしまいます。
まとめ
自作の曲に、架空の監督やクライアントを立てて指摘させる「仮想クライアント」機能を作った AI が作った架空の人物像で、実在の誰かの意見ではない、という前提を機能に組み込んでいる 実際にもらった本物のフィードバックは、推測より優先する 人物像は作り直すのではなく、新しい情報を足して育てる
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